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アメリカ在住の日本人がいろいろ書き散らす

AC/DC新作発表、ブライアン・ジョンソン「ウィルス? 忘れろ。テレビ消してロックしろ。簡単だ」

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2020年11月13日の金曜日、AC/DCがニューアルバム『Power Up』をリリースしました!!!

 ブルース・スプリングスティーンに続き、AC/DCよ、お前もか。どうしてこのおじさん・おじいさんたちはこんなに元気なの?

 今はバンドメンバーは世界のあちこちに分かれて住んでいるとは言え、一応まだオーストラリアのバンドなのかな? でも、アルバムのプロモーションで、アメリカの公共ラジオ局にも出てくれていたのを聴きました。

AC/DC Returns With 'Power Up,' A Tribute To Malcolm Young : NPR

 私は、晩秋になるとビル・エヴァンズとかを泣きながら聴いている女です。ロックとか聴かないんです。AC/DCも名前だけ知っているぜんっぜん興味無いバンドだったんだけど、今回のニューアルバムの中の曲がラジオから流れたのをうっかり聴いてしまい、まさに脳みそに電気が走ったように一気に目覚めました。

 これほど元気が出る音があるでしょうか!?

 しかも、リリースまでの道のりを知ると、まさに「Great comeback(すごい返り咲き)」、よく出したなあと更に元気をもらえる。

 バンドを作ったマルコム&アンガス・ヤング兄弟のうちの一人であるギタリスト、マルコムが3年前に死去。フロントマンでは無かったとはいえ、メインのメンバーであり、バンドは背骨を失ったようなもの。
 ヴォーカルのブライアン・ジョンソンは、前回ツアー中に聴力障害でドクターストップ。もうほとんど聞こえない状態だったとか。
 ドラムのフィルの覚醒がらみの不祥事。
 こうしたメンバーの相次ぐ離脱にベーシストのクリフ・ウィリアムズも音楽業界からの引退を表明。
 何も無いのは、死去したマルコムの代役でギタリストをやっているヤング兄弟の甥っ子のスティーヴィー・ヤングくらい?(余談だけど、ブルース・スプリングスティーンも長期に渡って一緒にやってきたバンドメンバーが亡くなったあとその人の甥っ子さんをバンドに入れている。キャリアが長いと、子供とか甥っ子とか身内が成人して後継者になってくれるのね・・・)
 
 「AC/DCも残念だけどもう終わりだな」、という認識だったところで出した新作ということで、何も知らなくてもうるさく元気なアルバムだけど、内情を知るとますます出してくれたことを祝福したくなる。私が生まれる前から存在しているバンド。もうファンは、なんでもいいから新しい音を出してくれるだけで祭りなのではないでしょうか。

 メンバー全員コロナ脆弱年代だし、ここ数年は大切な人を失ったり、さぞかし辛い思いをしていることだろう・・・と、周囲は予測するんだけど、インタビューを聴く限り、本人たちは意外と淡々とけろっとしていて元気(ブルース・スプリングスティーンもそんな感じだった)。

 AC/DCはもうおしまいだと自分でも思っていたか、という問いに答えるリーダーのアンガス・ヤング。

「いや、全然。この先のことに集中していただけ。AC/DCのためにするべきことが何かあるって頭の中ではわかっていた。それが何であれ、何かあるだろうっていうのはいつも思っていた。」

"No, I was just concentrating on doing what's there in front of me. In my head I always knew, there'll be something to do for AC/DC. What it would be or what it was, but I always knew there will be something."

 一方、聴力をほぼ失った状態になったヴォーカルのブライアン・ジョンソンは、「キャリアは終わったと思ったか」という問いにこう答えている。

「思ったに決まってるじゃないか! ハッハッハ!! でも、同時にこれで死ぬわけじゃないんだし、とも思ったね。素晴らしい人生を送って来られて幸運だったよ。あのスタジオでみんなでよく頑張ってきたんだよな、って思った。」

"Absolutely! Hahahaha! But at the same time, I was just thinking, I wasn't going to die of it. I was lucky to have had such a great life. I think we all had our heads up in that studio."

 アンガスさんもブライアンさんも、しゃべってる声が「おじいさん」なんですよ。どうしてもニューアルバムの音と繋がらない。
 アンガスさんも、トレードマークのスクールユニフォーム着てギターを持ってないと、なんか「・・・だいじょうぶ?元気?」と心配になる弱弱しいルックス。
 そしてブライアン。73歳・・・。どうやってあんな甲高いほとんど何歌ってるんだかわからない雄たけびヴォーカル出せるの? 本当に歌ってる? ↓この人ですよ?

 とにかく久々にみんなでスタジオに集まったらもう楽しくて楽しくて、ロックやるか!という感じだったらしい。40年も一緒にやってきている、というのをことさら繰り返していましたね。

 良いロックの音楽を作った、(亡くなった)マルコムが誇りに思ってくれるものが作れた、と断言していらっしゃいます。

 特にこの「2020年」に出してくれたことがでかい、今年は特にあなたたちが必要なんだ、というインタビュアーに対して・・・

アンガス・ヤング「いいロックンロールのアルバムと届けたと思っている。みんながリズムをとったり歌ったりするようなやつ、周りで起こっていることから意識を遠ざけるようなやつをね。」

ブライアン・ジョンソン「アンガスの言う通りだよ。特に今こういう、ウィルスとかふざけたこととかに囲まれている時だからね。そういうの忘れちゃえよ。テレビを消してレコードプレイヤーをつけるんだよ。まだ持ってればだけど。ただロックしろ、簡単だよ」

 1時間だけでもいろいろ忘れて楽しんでほしいとのことなので、私も思いきり楽しみます。私の今年の感謝祭のクッキングを助けてくれる音楽になることでしょう。皆さんも是非、ロックしましょう!!
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