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アメリカ在住の日本人がいろいろ書き散らす

なぜ嵐の中にわざわざ立つ? 学ばないお天気おじさんアル・ローカー

 先週末は、アメリカの数少ない祝日の一つ、レイバー・デイで連休だった。
 
 もともとの「労働者や労働運動を大切にしよう」という意味から外れて、完全に「夏の終わり」を意味する祝日と化しているレイバー・デイ。皆が去り行く夏を惜しむかのようにお出かけする。
 お隣さんちも湖の別荘だかリゾートホテルだかに旅立たれた。我が家は、そこんちのお隣さんちに託されたガマガエル2匹の世話をするだけ・・・。なんか・・・格差社会? 飢えたカエルのためにせっせとミミズを掘ったりダンゴムシを捕獲したり・・・私・・・なにしてるんだろう・・・。

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 しかし、最近は、ミミズ掘っていられる生活に感謝、もうそれだけ。
 この間のハリケーン「アイダ」の直撃エリアを見ろ! 連日30℃越えの暑さなのに、一か月電気無しの地域もあるとか。体が丈夫じゃない方々が劣悪な環境で苦しんでいるというニュースも聞く。アメリカ大陸の南東部は水浸しで、反対側の南西部は深刻な水不足と山火事。ほんとにもう、うまくいかないよね・・・。

 こうも自然災害が多いと、出番が多くなるのがお天気リポーターなんだけど、アメリカで一番有名なお天気リポーターと言えば、アル・ローカー。アメリカの4大テレビネットワーク*1のひとつ、NBC一筋で四十数年。来る日も来る日もニューヨークのNBCのスタジオの前から、一般人に囲まれて、朝にお天気を伝え続ける愉快なおじさんです。
 もうすっかりNBCの顔と化していて、お天気だけじゃなくて、サンクス・ギヴィングのパレードや、ニューイヤーのカウントダウン番組、オリンピックや大統領就任式なんかの中継でも出てくるように。
 そのアル・ローカーが、ハリケーン・アイダの時にちょっと話題になっていました。

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水ぶっかけられるコメディみたい NBCニュースの動画https://www.youtube.com/watch?v=ZFMrCx5Vo7Yより

 
 アルはもう歳(67歳)なのになんでこんな危ないことやらせんの、という声多数。というより、そもそもお天気リポーターって嵐の中からリポートする必要あるのか? ドローンとか何かもっとほかにやりようがあるでしょ、という・・・。「バカみたいに見える」という冷たい反応もわからなくもない。上記動画からお分かりの通り、嵐の過酷さを通り越してコントのよう・・・。

 しかし、後に、これはやらされているのではなく、本人が志願してやりたくてやったということが判明。確かにお天気リポーターなら、歴史に残るハリケーンの中継はやってみたくなるものなのかも。「ちゃんとスタッフと安全に気をつけてやっているし、俺を歳より扱いしないでくれーーー!」とご本人はおっしゃっています。

 以下の2005年のハリケーン「ウィルマ」から全く学んでいないとしか言いようがありませんな。

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危ないって、ほんとに! Weather Channelの動画https://youtu.be/1m22d6CRx0Iより

 下で誰かに足を押さえてもらってぶっ倒れてまで中継するアル。本人は真剣なのでしょうが、なんかどうしても笑ってしまう。やっぱりコントの一場面のよう・・・。

 そうなのです、このアル・ローカー、なんというか、これは持って生まれたものなのか、雰囲気が明るく暖かい。気さくで陽気、売りは笑顔、みたいなおじさんです。昔は、ころころと体型も丸っこく、帽子をかぶっているお姿がハンプティ・ダンプティのようでした。そこからダイエットにも成功し、ダイエットの本も出していたっけ。

 自身のプロダクション会社なんかもあるお金持ちで、NBCの重鎮レベルの人だと思うんだけど、それでも毎朝3:45起きでお天気おじさんを続けている。「父親にDay Job(毎日の単調なコツコツ系の職業)の大切さを叩き込まれたから」と昔おっしゃっていたのを覚えています。あとは、お天気おじさんでいるのが好きなんでしょうね。

 私がどうもこの人を応援せずにいられないのは、彼が私生活で、発達障害の息子さんを育てていらっしゃるからなのです。インタビューでは息子さんの症状を「自閉症スペクトラムのどこかにいて、強迫性障害の症状もある」とおっしゃっていましたが、3歳まで歩くこともできず言葉も出なかったそうで、広汎性発達障害のように聞こえました。

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アル・ローカーのインスタグラムより

 それでも、スペシャル・オリンピックスで金メダルをとれるまでに成長し、まだまだポテンシャルがありそうな息子さんです。

(ご存知の無い方のためにご説明すると、スペシャル・オリンピックスは、知的障碍者のためのスポーツの祭典です。パラリンピックスは身体障碍者のためのものなので、分けられている)

 知的障碍者に向けられる社会の嫌悪(Stigma)を無くしたい、とジャーナリストの奥様と共に折に触れて、息子さんのことをメディアで語ったりしておられます。
 そういう時のアル・ローカーは、いつもの愉快な感じが無く、ほろ苦い雰囲気で・・・。

「息子がこの世界で居場所を見つけられないのではないかと気がふさぐことがある。」
「私も自閉症スペクトラムのどこかにいると思う。息子の中に自分と同じ特性が見える。そのたびに罪の意識を感じる。」

などなど、発達障害の子供の親なら、必ず感じるといってもいい思いを吐露されておられました。

 アル・ローカーほどの人でも、こればっかりはどうにもできないんだよね。

 それでも笑顔笑顔でみんなを元気にしている彼はすごい。みんな、なんてことない顔しているけど、いろいろあるんだよなあ。

 私も・・・私も・・・頑張ってミミズ掘ろう!!!

*1:ABC、CBS、FOX、NBC