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アメリカ在住の日本人がいろいろ書き散らす

「差別の理由になるもの」+「ism」= ○○差別

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 昨日は、気温が9℃まで上がった。

 先週、-20℃以下だったから、一週間で一気に30℃の気温上昇なんだけど、0℃から30℃ほどのインパクトが無いのはなぜ? みんなものすごく嬉しそうにコート着ないで外に出ているけど。

 でも、気温9度でなにも半袖になることないでしょ。
 アメリカ人の方々は、気温の感じ方が我々と違う感じがします。国際結婚カップル、国際的な職場などで、エアコンの気温設定はいさかいの元になるとよく聞く。たいてい、日本人が「寒い、寒い」と言っていて、アメリカ人が「どこが寒いんだ」とエアコンの設定温度を下げる。

 しかし、このように「○○人は~」と語ることは、このご時世やめたほうがいいですね。たとえけなす意図が無くても、「○○人は△△」とか「女はよく○○する」とか、そういう「ひとくくりにして結論付ける」というのは、「差別、偏見」なんですよね。
 
 そうなってくると、私なんて、しゃべっていることほとんど全部差別と偏見かも・・・。

 前述したような、「○○人は、____だ」は、人種でステレオタイプを決めつけているので「racism」。「人種(Race)+ism」、そういう差別をする人は「racist」。この言葉は残念なことに知らない人いない言葉になっちゃいましたね。

 でも、「○○+ism」という言葉の多さを見ていると、世の中、差別と偏見だらけなのがわかります。

Sexism
「Sex(性別)+ism」で「性差別」。この差別をする人は「Sexist」。
性別だけで、人間の資質を決めつけたり下に見たりする差別。たいてい女が対象。この間の某氏の「女を会議を長くする」騒動の英語記事でも、「Sexism」「Sexist」の単語が頻出していましたっけ。Sexist・・・一文字追加したら、「Sexiest」になって、「一番セクシー」みたいないい意味になるのに。
「He is a sexist.(彼は性差別者)」
「He is the sexiest.(彼が一番セクシー)」
・・・ほんの数文字でえらい差が。Sexiestのほうを目指したいものです。

Ageism, Agism
「Age(年齢)+ism」=「年齢差別」。
 アメリカでも問題になっている。だから、就職の面接でも年齢は言わなくていい。雇う側も「何歳ですか」は聞けないはず。求人情報に自分の情報を提出する時も、生年月日の欄は無い。そもそも日本の「履歴書」にあたるものがアメリカには無くて、「職務経歴書」っぽいものを好きなフォーマットで作って雇用者に提出するわけだけど、そこにも年齢や生年月日欄は入れなくていい。
 だがしかし!「高校をいつ卒業したか」という巧妙な質問がある。それに最終学歴に「○○年~○○年 △△大学×××学部」って書くわけだから、人事は一瞬で年齢を計算していると思われます。

Heightism
「Height(身長)+ism」=「身長差別」。
 身長と年収の相関をとった研究者がいて、結果は・・・。なんか1インチ身長が増えるごとに年収がいくら増加、とかすごく残酷な結果でした。身長はほとんど無意識のレベルで採用やリーダーの選出に影響しているとか。
 しかし、高ければいいってもんでもない。このHightismの例で、「身長が高すぎる人が社会的不利益を被る例」も挙げられている。例えば、警察や消防、軍のパイロットは(自治体で違いはあるけど)、応募要件に最低身長だけではなく身長の上限(たいてい2メートル)も入っている。これは装備の関係で仕方がないことなのかもしれないけれど、身長が影響しない仕事だってそういった組織の中にあるだろうに。
 要は、身長は平均から大きくはずれたら高くても低くても苦労するということか。
 
Weightism (Fatism, Fattism)
「Weight(体重)+ism」=「体重差別」。
 体重は、身長と同じくらい生まれつきの体質が大きく影響すると遺伝学の本で読んだことがある。つまり同じ食べ物を食べて同じような運動量でも、ふっくらした体形の人と、ガリガリに痩せている人がいる、というのは本人の意思や何かとは無関係ということ。それなのに、社会は体重に厳し過ぎる。適性体重はひとそれぞれ。健康に影響するほどの肥満でなければ、その人が快適な体重でいいんじゃない?と思うけど、これまたいわゆる「普通」くらいに見える人が採用や昇進で有利になっている。アメリカでもそう。しかし、アメリカの「普通」が日本のとは著しくずれているけれど。
 体重も少なければいいというわけではなく、特に男性はほっそりし過ぎもアメリカでは不人気らしい。身長と同じく、平均から大きくはずれたら重くても軽くても苦労するという・・・。「普通」ってすごいアドバンテージなんだな。

Sizeism
「Size(体の大きさ)+ism」=「体型差別」。こうした差別をする人を「Sizeist」。
 これは前述のHeightismとWeightismを合わせたような感じ。平均から外れた体型に関するすべての差別、偏見、ステレオタイプ(「太っている人は怠け者だ」とか「背が高いんだからバスケができるはず」などなど)を含んでいる。しかし、その中でも一番深刻なのはやはり体重に関するものだとか。

Classism
「Class(階級)+ism」=「階級差別」。
 簡単に言うと、貧しい人を差別することですかね。経済的(または家柄的に?)に中流~上流の人たちが、自分たちより貧しい人たちを見下して、自分たちのほうが優れていると考えること。
 自分たちのほうが優れてるんだから金持ちになれたんだ、という考えもわからんでもないですが、すでにスタート地点から違いますからね。手すり付きの遊歩道が整備してある山道をガイド付きで登っていく人と、道なき道だけどまあせいぜい頑張れやっていう登山している人とは、同じ時間内で到達点が全然違うの当たり前なんだけど、高く登れた人は登って来られずくじけた人を見下しちゃうんですよね。

Colorism, Shadeism
「Color(肌の色)+ism」、これは適切な日本語が浮かびません。そのまま「カラリズム」にしときます。レイシズムとどこが違うねんと言われそうですが、レイシズムが人種によって人を差別するのに対し、これは「同じ人種なのに、肌の濃淡で扱いに違いがある」という差別を指す。黒人間でも肌の色の濃さが明るい感じの人とすごく濃い感じの人がいて、悲しいことに肌が明るい人のほうが社会的に良い扱いを受けています・・・。

 他にもまだまだいろいろありますよ~

Ableism 「Able(身体・知的能力)+ism」=「障碍者差別」。
Heterosexism 「Heterosex(異性愛)+ism」=「異性愛第一主義→同性愛差別」
Lookism 「Look(外見)+ism」=「外見差別」
Speciesism 「Species(種)+ism」=「生物種差別」(牛は殺して食べていいのに犬はダメとか、種によって殺生や道徳観念に差があること)

・・・・・・もう書ききれません。

 日本だとこれに、「利き手ism(左利き差別)」とか「入れ墨ism」とかが入ってくるのかな? あと「黒髪ism」とか??

 でも、「Buddhism」とか「Judism」とかも「○○ism」だけど、単に仏教やユダヤ教の教えや考えや文化を指すだけで、それ以外を差別することを意味しているわけではない(ユダヤ差別は「Anti-Semitism」)。ややこしいな。

 なんか何を書いてもしゃべっても差別になってしまいそうな最近の風潮、もう何もしゃべれないじゃない、という気持ちにもなってくる。でも、口から言葉を出す、もしくはこうやって書いて言葉にする、というのはきっと元々すごくリスクのあること。 ネットの普及で発言が残ったり、あっという間に広がるようになって、そのリスクが認識されただけなのかもしれない。

 賢い人はあまり口をきかない、っていうもんね。私はもちろん「賢い人」ではなく、言葉に無責任に生きてきた。これからも失敗を繰り返すかもしれないけど、これからは失敗からしっかり学んで、直していくしかない。

 あっ、「賢い人はあまり口をきかない」っていうのも、「口数ism」? 口数で人の価値を決めてる差別!? 言っちゃだめなことだった!?

 ハー、難しい・・・。