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アメリカ在住の日本人がいろいろ書き散らす

【Breakthrough Infection】ワクチン接種完了後も感染してウィルスを人にばらまくケース

 東京オリンピック、楽しく観戦してますかー? 
 
 それどころじゃないんだよ!緊急事態なんだってば!という声が聞こえるようです。本当に不思議な感じです。緊急事態で大変なんだけど、盛り上がっている・・・?ような、水と油をぐるぐるに混ぜようとしているような不思議さ。

 我が家の子供たちは、日本大好き(一応日本人ですから)で、

「日本でやってるんだよね!? 観たい観たい!」

と言って楽しみにNBCのオリンピック番組を観始めましたが、彼らのイメージだと「日本=じいちゃんばあちゃんちの周辺」なんですよね。なぜかオリンピック放映でその辺りがバンバン映ると思っていた様子。実際は競技会場しか映らず、なんか知らん人たちが頑張って跳んだり走ったり泳いだりしている・・・たまにちらっと東京の遠景が映るだけか~、ということで、たちまち飽きてどっか行ってしまったという・・・。

 ちなみに、オリンピックでアメリカの選手を応援している自分に気付いた時、それは「アメリカに長く居すぎてしまったな」と思う瞬間のひとつでもあります。もちろん日本の選手も応援しているんですよ、でも、こちらのオリンピック番組は当然アメリカの選手中心に放映されていて、他国の選手はあまり取り上げられない。日本でももちろん自国中心ですよね? そういう番組を見ていると、いつしかアメリカ選手に詳しくなり、自然と親近感を覚えて応援するようになってしまうという・・・。

 アメリカと日本、二つのスポーツ大国を応援できるのは幸せなことです。オリンピックの期間中、合計すると1時間半くらいしかテレビ観戦できていませんが。

 そして、その短い観戦中に「おお、アメリカだっ、これはまぎれもなくアメリカだーッ」と思ったのが。以下のような光景です。

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水泳の金メダリスト、ケイラブ・ドレッセル選手の家族の感染、じゃなくて観戦風景

 応援に行けない家族・親戚縁者が集まって、俗に言う「ウォッチ・パーティー」をしており、金メダルに湧く感動的な瞬間なのですが・・・

 狭い空間に人間がひしめきあい、誰もマスクはしていない・・・さすがアメリカ・・・さすがフロリダ・・・。

 「マスク無し人間たちがぎゅうぎゅう」という何か懐かしいものを見た、そんな気がします。

 こちらは、女子体操の個人総合で見事金メダルを獲得したスニ・リー選手の地元のウォッチ・パーティーの様子。

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女子体操のスニ・リーちゃんの地元の様子、さすがアジア系コミュニティなので奥の人たちは数人マスクをしている

 もう、もみくちゃ・・・。

 それもこれも、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)が春先に「ワクチン接種終わったら、もうマスクをしなくてよろしい」と公にガイドラインを出したため。マスクひとつで殺す殺さないの騒ぎになるアメリカなので、今年四月に各州で成人へのワクチン配布が始まった当時、

「ワクチン打ってもマスクしてソーシャル・ディスタンス保てって? それじゃ打つ前と変わらないじゃないか」

という声が高まった。ワクチン接種率を上げるためにも接種した人にはいいことがあるふうにしてやろう、という流れになり、マスク着用義務が緩和された・・・と記憶しています。いやいや、ワクチン接種したら重症化しなくなるという最もでかいメリットがあるんだからそれでいいでしょ、と思うんですけどね。

 しかし先週の終わりくらいか? 少し前にフロリダとマサチューセッツでワクチン接種者の集団内で起こったコロナのアウトブレイクをCDCが精査した結果、ブレイクスルー感染に関してだいたいのことが分かった、と発表。
 
 ブレイクスルー感染:ワクチン接種後にコロナに感染すること。

 現時点で分かっているのは・・・

1)現在、米国で感染報告がなされているのはデルタ株がほとんど。
2)ブレイクスルー感染は、1%程度の確率。つまり100人のワクチン接種者の中で一人くらい。
3)ブレイクスルー感染で、入院するほど具合が悪くなる人はまれ。ほとんどの人は無症状か、発症しても風邪程度の症状。ちょっと熱っぽいし咳やくしゃみが出るから2,3日仕事休もうかな・・・くらいで済む。風邪とインフルの中間くらい、と表現していた人もいた。
4)死にいたることはほぼ無いと言っていい。重篤化している人はほとんどがCovid以外の健康上の問題を持っている人。
5)若い人でもブレイクスルー感染は起こる。
6)感染したら、ワクチン接種者でも未接種者と同じくらい、ウィルスを人にばらまく。デルタ変異種は一人の感染者から8人にうつると言われている。

 つまり、ワクチンを接種していたらその人が入院したり死に至ることはない。でも、他の人に感染させるリスクはワクチン接種してもしなくても変わんないよ、ということで・・・。それを防ぐためにマスク着用義務はやっぱり緩めちゃダメだったということになる。
 CDC・・・ってば・・・。『The Premonition(邦題:最悪の予感: パンデミックとの戦い)』を読んで以来、CDCはなんか後手後手で信頼できないとは思っていたけれど、やっぱりダメダメだな。

 1)を見る限り、100人に一人か~ブレイクスルー感染の確率って低いじゃないの、と思うけれど、アメリカの人口の7割の数の100分の1はすごい数になるし、それがまた8人にばらまくとなるとあとは指数関数的に増え、ワクチンを接種していない3割の国民は従来種より危険なデルタ株に抗体が無いわけで・・・。また医療崩壊まっしぐら・・・。ワクチン接種率が低いエリアで感染拡大が止まらず、病院がいっぱいになっているのも納得。私の住んでいる地域は、それほど接種率は低くはないけれど、ニュースを観る限り、じわじわ・・・じわじわ・・・と感染が拡大している感じはある。

 ということで、CDCの上記発表後、「終わった終わったヒャッハー!夏だ!海だ!山だ!リゾートだ!音楽フェスだ!パーティーだ! マスクってなに!? ねえ、それなんのこと!?」と浮かれていたアメリカは一気に数か月前の引き締めモードに戻り始めている。

 自宅から勤務できる職種の人は再び自宅勤務推奨になったり、小売店でもマスク着用を求められたり。連邦職員(日本の国家公務員ね)は原則全員ワクチン接種が義務、出来ない人はめんどくさい検査受けて陰性証明提出義務。大きな組織は同じような命令を職員に出すところも増えて来た。

 日本も現在、感染拡大で大変と聞いている。ワクチン接種したくても予約ができない・・・とSNSなんかでも見かけたりはする。
 でもでも、日本はやる気になったらあっという間にワクチン接種率80%-90%になって、マスクもちゃんとして、デルタ株もたちまちやっつけそうな感じがする。危機に際して、一致団結の力がすごいし、やっぱり世間と違うことをしづらい雰囲気があるからマスクもみんなちゃんとする。
 
 金と国力でワクチン大量生産して、コロナよさよーならー!とばかりに浮かれていたアメリカは、結局、個人主義が邪魔して、また他国が落ち着いてきた時に泥沼にはまっていそう。

 国民性が優れているのに、国全体で見るとなんとなくもたついている日本。
 国に力はあるのに、国民がバラバラで自滅しているアメリカ。

 なんかね・・・、もうどっちも観ているともどかしいのです。ポテンシャルはあるのに成績が伸びない子供みたい。どっちとも、どうにかできないもんか、本当に。