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アメリカ在住の日本人がいろいろ書き散らす

Existential Risk (人類滅亡の危機)

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この水、飲んでもいいの?

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飲んじゃえ― 暑くて喉が渇くんだもん

 人生初体験レベルの猛暑が続いている。

 冬に人生初体験レベルの寒さを体験したと思ったら夏はこれ。そうなるんじゃないかなという予想が的中した。毎年、育てるのを楽しみにしている蝶もメキシコから北上して来ないし、蜂も少ないし(これは嬉しいけど)、去年川遊びをした小川は干上がっているし、何か、見えない大きな何かが起こっているのを感じる。

 もうアメリカでは、気候変動がはっきりと誰にも体感できるレベルになってきている。気候変動は陰謀論だと言う人もいるけれど、気候が以前と違うといのは皆が認めるところだと思う。

 先日、我が家の子供が家の外で友人数人とべちゃくちゃぺちゃくちゃギャーッハッハッハとなにやらうるさく1時間くらいくっちゃべっていた時のこと。
「何をあんなに盛り上がっていたのよ?」
と後で聞いたところ、ティーンネイジャーらしく
「覚えていない。色々。」
と冷たい答え。しかし、その後、やつが付け加えたのが以下。

「火星にものすごいお金かけてあんなロケット飛ばしたりするんだったら、地球をなんとかしたほういいんじゃないの、とか話してた。」

思わずまじまじと顔を見てしまった。

「あの・・・あの・・・本当にそうだけど、そうなんだけど、飛ばしてる人たちはもしかしたら地球が本格的にダメになった場合に備えてプランBというか・・・うー・・・人類のためになんとかしようとしているのかもしれないね? えーと知的探求心の追及も人類貢献の一環というか・・・」

「そんなの、こっちがダメになったからあっちに行こうとかやってたら、行った先だってどうせダメにするだけでしょ」

ヤツは冷たく言い捨てて自室へと去って行った。ちなみにヤツは日本では中学生である。

 これが現代の子供たちの感覚なのかなと思った。

 先日、アメリカの若者のメンタルヘルスが非常事態ということを書いたけれど、彼らが心を病むその理由の一つに、「Existential Riskへの恐怖と不安」が入っていた。

 Existential Risk、つまり「人類滅亡の危機」。
 気候変動やパンデミックで、人間はもうダメなんじゃないかという暗い未来がリアルに子供たちの心にのしかかっているらしい。これはもうノストラダムスの大予言とかとレベルが違う。

 グレタ・トゥーンベリちゃんが怒りまくっているのを揶揄する大人もいるけれど、未来がある子供たちには大人にはわからない焦りがある。ビリー・アイリッシュちゃんも怒っている。

「大人とか年寄りが私たちの言う事聞き始めてくれたらいいんだけど。私たちがみんな死んじゃわないようにね。年寄りはもうすぐ死ぬから私たちが死んだってどうでもいいんだろうけど、私たちはまだ死にたくないんだよね。」

"Hopefully the adults and the old people start listening to us so that we don't all die. Old people are gonna die and don't really care if we die, but we don't wanna die yet.”

 こんな地球にしたのはあんたたちでしょ? 何もせずに死ぬなんで許さない、子供たちのそんな怒りをひしひしと感じる。

 確かに、私の周りに限って見れば、歳をとっている人ほど、地球をなんとかしなくちゃという責任感は薄いと感じる。今の子供たちみたいに学校でそういう教育も叩きこまれていないし。

 私自身は、地球環境を守るために多少不便な生活をしてもまったく構わないし、生活がちょっと便利過ぎるとすら感じる。でも、これまたマスク着用とかと一緒で、大多数がやらないと意味の無いことにも思える。

 そういう、私ひとりがやったって無駄だし・・・みたいなのも、ビリーの言うところの「年寄り」の思考なんだろうか。

 なにかもう、すべて手遅れに感じる。

 真剣に考えると、私までExistential Risk への不安と無力感で押しつぶされそう・・・。