WRITE, DREAM, LIVE

アメリカ在住の日本人がいろいろ書き散らす

ハイキング中に謎の変死をとげた一家・・・だれかこのミステリーを解決して!

 2021年8月17日。
 米国カリフォルニア州のヨセミテ国立公園の国有林Sierra Forestのハイキングコースのそばで、ある一家が全員遺体で発見された。
 ジョン・ガーリッシュ(John Gerrish)さん45歳、その妻のエレン・チャン(Ellen Chung)さん31歳、夫妻の一歳の娘さんMijuちゃん、そして一家の飼い犬。
 検死の結果、死因となるような外傷や争った形跡は全員にまったく見当たらなかったという。
 健康な一家が全員、飼い犬まで、突然、森でパタリと亡くなってしまった。その地域で20年間のキャリアがあるという警察官も、
「いろんなものを見てきたが、こんな死は見たことがない」
と当惑している。遺体発見場所付近の捜査は、危険物取り扱い用のスーツを着用して行われているが、現在、有力な手掛かりは無く、死因解明には進展が無いらしい。

 夫妻は、アウトドアで過ごすことが趣味で、言ってみれば上級ハイカー。GoogleやSnapchatのソフトウェア・エンジニアだったという夫も、そして妻も教育レベルの高い人たちで、夫婦仲も良く、娘さんの誕生で幸せいっぱいだったという。かわいい娘さんをだっこしている家族写真が本当に悲しい。何が起こったんだろう。

 あまりにミステリアスな死で、全国的に取り上げられ、ネットでもいろいろ推理されている。

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全国ネットのモーニング・ショー「Good Morning America」の動画https://youtu.be/yjXHPrBHoSEより 

 今のところ、以下のような原因が検討されている。

(1)炭鉱からの有毒ガス説
(2)熱中症説
(3)雷に打たれた説
(4)川の藻から発生した有毒ガス説
(5)藻から出た有毒物質を含んだ川の水を飲んだ説
(6)宇宙人にやられた説

(1)と(3)は、捜査チームの検証の結果、死因となった可能性は低いだろうとなっている。(2)はまだ外されていない。一家がハイキングした日は、35℃越えの暑さだったという。でも、それだったら、検死でわからないものなのかな・・・。
 今のところ、(4)が最有力らしく、万が一ほかの人にも被害があってはならないということで、国有林の一帯は閉鎖されてハイキング禁止になっている。しかし、水から発生する有毒ガスの場合、付近一帯で鳥とか野生動物がもっと死んでいないとおかしいという指摘もある。第一、あの一帯は水不足で川の水も激減だったんじゃないのか。そんなに大量に有毒ガスが出せるほど、藻が繁殖できるほどの水が残っていたのか??
 暑い日だったので、(5)もネットではありうるのではないかと言われているけれど、アウトドアに詳しかった夫妻が川の水をそのまま飲むとは考えにくい。フィルター付きの水筒を使っても飲む気がしない水質なことは知っていたはずだ。

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By Ildar Sagdejev (Specious) - Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=5131450

 地球の温暖化の影響で、アメリカ国内の海や湖が人体に有毒なガスや物質を出す藻だらけになっていて、遊泳エリアが制限されているというのは聞いたことがある。よく訪れていた川なんかも、最近はどこも緑色になっているとは感じる。

 でも・・・健康な一家とペットがパタッと死んでしまうほど、危ないものなの!? 助けを求める暇も無かったの!? 怖い!!!

 警察は、住民に「心配することも怖がることもない」と呼びかけているけれど、一家の死因が原因がわからない以上、説得力無いっていうか・・・。

 謎は深まるばかり。
 現在毒物解析の結果待ちで、数週間以内に死因は判明するのではないかと期待されている。

 何かわかったら、また記事に書きます。

 って、こういうミステリーが気になって仕方ないのは私だけ・・・?

なぜ嵐の中にわざわざ立つ? 学ばないお天気おじさんアル・ローカー

 先週末は、アメリカの数少ない祝日の一つ、レイバー・デイで連休だった。
 
 もともとの「労働者や労働運動を大切にしよう」という意味から外れて、完全に「夏の終わり」を意味する祝日と化しているレイバー・デイ。皆が去り行く夏を惜しむかのようにお出かけする。
 お隣さんちも湖の別荘だかリゾートホテルだかに旅立たれた。我が家は、そこんちのお隣さんちに託されたガマガエル2匹の世話をするだけ・・・。なんか・・・格差社会? 飢えたカエルのためにせっせとミミズを掘ったりダンゴムシを捕獲したり・・・私・・・なにしてるんだろう・・・。

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 しかし、最近は、ミミズ掘っていられる生活に感謝、もうそれだけ。
 この間のハリケーン「アイダ」の直撃エリアを見ろ! 連日30℃越えの暑さなのに、一か月電気無しの地域もあるとか。体が丈夫じゃない方々が劣悪な環境で苦しんでいるというニュースも聞く。アメリカ大陸の南東部は水浸しで、反対側の南西部は深刻な水不足と山火事。ほんとにもう、うまくいかないよね・・・。

 こうも自然災害が多いと、出番が多くなるのがお天気リポーターなんだけど、アメリカで一番有名なお天気リポーターと言えば、アル・ローカー。アメリカの4大テレビネットワーク*1のひとつ、NBC一筋で四十数年。来る日も来る日もニューヨークのNBCのスタジオの前から、一般人に囲まれて、朝にお天気を伝え続ける愉快なおじさんです。
 もうすっかりNBCの顔と化していて、お天気だけじゃなくて、サンクス・ギヴィングのパレードや、ニューイヤーのカウントダウン番組、オリンピックや大統領就任式なんかの中継でも出てくるように。
 そのアル・ローカーが、ハリケーン・アイダの時にちょっと話題になっていました。

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水ぶっかけられるコメディみたい NBCニュースの動画https://www.youtube.com/watch?v=ZFMrCx5Vo7Yより

 
 アルはもう歳(67歳)なのになんでこんな危ないことやらせんの、という声多数。というより、そもそもお天気リポーターって嵐の中からリポートする必要あるのか? ドローンとか何かもっとほかにやりようがあるでしょ、という・・・。「バカみたいに見える」という冷たい反応もわからなくもない。上記動画からお分かりの通り、嵐の過酷さを通り越してコントのよう・・・。

 しかし、後に、これはやらされているのではなく、本人が志願してやりたくてやったということが判明。確かにお天気リポーターなら、歴史に残るハリケーンの中継はやってみたくなるものなのかも。「ちゃんとスタッフと安全に気をつけてやっているし、俺を歳より扱いしないでくれーーー!」とご本人はおっしゃっています。

 以下の2005年のハリケーン「ウィルマ」から全く学んでいないとしか言いようがありませんな。

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危ないって、ほんとに! Weather Channelの動画https://youtu.be/1m22d6CRx0Iより

 下で誰かに足を押さえてもらってぶっ倒れてまで中継するアル。本人は真剣なのでしょうが、なんかどうしても笑ってしまう。やっぱりコントの一場面のよう・・・。

 そうなのです、このアル・ローカー、なんというか、これは持って生まれたものなのか、雰囲気が明るく暖かい。気さくで陽気、売りは笑顔、みたいなおじさんです。昔は、ころころと体型も丸っこく、帽子をかぶっているお姿がハンプティ・ダンプティのようでした。そこからダイエットにも成功し、ダイエットの本も出していたっけ。

 自身のプロダクション会社なんかもあるお金持ちで、NBCの重鎮レベルの人だと思うんだけど、それでも毎朝3:45起きでお天気おじさんを続けている。「父親にDay Job(毎日の単調なコツコツ系の職業)の大切さを叩き込まれたから」と昔おっしゃっていたのを覚えています。あとは、お天気おじさんでいるのが好きなんでしょうね。

 私がどうもこの人を応援せずにいられないのは、彼が私生活で、発達障害の息子さんを育てていらっしゃるからなのです。インタビューでは息子さんの症状を「自閉症スペクトラムのどこかにいて、強迫性障害の症状もある」とおっしゃっていましたが、3歳まで歩くこともできず言葉も出なかったそうで、広汎性発達障害のように聞こえました。

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アル・ローカーのインスタグラムより

 それでも、スペシャル・オリンピックスで金メダルをとれるまでに成長し、まだまだポテンシャルがありそうな息子さんです。

(ご存知の無い方のためにご説明すると、スペシャル・オリンピックスは、知的障碍者のためのスポーツの祭典です。パラリンピックスは身体障碍者のためのものなので、分けられている)

 知的障碍者に向けられる社会の嫌悪(Stigma)を無くしたい、とジャーナリストの奥様と共に折に触れて、息子さんのことをメディアで語ったりしておられます。
 そういう時のアル・ローカーは、いつもの愉快な感じが無く、ほろ苦い雰囲気で・・・。

「息子がこの世界で居場所を見つけられないのではないかと気がふさぐことがある。」
「私も自閉症スペクトラムのどこかにいると思う。息子の中に自分と同じ特性が見える。そのたびに罪の意識を感じる。」

などなど、発達障害の子供の親なら、必ず感じるといってもいい思いを吐露されておられました。

 アル・ローカーほどの人でも、こればっかりはどうにもできないんだよね。

 それでも笑顔笑顔でみんなを元気にしている彼はすごい。みんな、なんてことない顔しているけど、いろいろあるんだよなあ。

 私も・・・私も・・・頑張ってミミズ掘ろう!!!

*1:ABC、CBS、FOX、NBC

【SNSやりません!】 ソーシャルメディアを使わないセレブとその理由

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画像は本文とは全く関係の無いスーパーで売ってたハンバーガー型カップケーキ。だったらミニ・ハンバーガー作りゃいいじゃない

 前回、「Doomscrollingやめるぞ」宣言をした者です。

blog.writedreamlive.info

 あのあと、アメリカ南東部に巨大ハリケーン「アイダ」が上陸、現在も温帯低気圧になって進路に猛威をふるっているわけですが・・・。その被害のあまりの惨状に、またノンストップDoomscrolling!

 日本で報道されたワクチンの異物混入問題も、「摂取する人が減ってしまうんだろうか」とかなり心配→→→Doomscrolling!

 って、どっちも、本当に自分にはどうにもできない問題で、乱暴に言えば知るだけ無駄というか心配している暇があったら働けというか、なぜ、なぜ、そういう「無駄」に時間を費やす? 

(※今、「ついやす」と書いて変換し、「費やす」になったことに衝撃をうけた。今日この時まで「費す」だと思っていた・・・ショックのため数分が経過・・・)

 私のように、最近、Twitterやらニュースサイトやらに向かう時間が増えている人は多いはずだ!! 

 しかし、結論を言おう。

 やはりクールな人たちは、ソーシャル・メディアなど使わない。

 いや、違う。

 真にクールな人たちは、ソーシャル・メディアを使わなくてもクール、使ってもなんかクール。
 
 以下の有名人たちの「私がソーシャルメディアを使わない理由」を読んでみて欲しい。これらの言い分、彼らが言うとカッコいいんだけど、私が言うと、なんか途端に「乗り遅れたBBA感」が出るのが納得がいかん。

 例えば、日本ではあまり知られていない人だからここには載せなかったんだけど、とある若い女優さんが、SNSをやらない理由を問われて、

「やってみたけど、個人的には何が面白いのかまったくわからなかった」

とズバッと答えてたんですよ。これ、彼女が言うとかっこいいですけど、私だったら・・・。

 というわけで、容姿端麗だったり才能があったりする人たちは、結局どう転んでもクールという平凡な結論に至った。

 それにしても、皆さん、自分の言葉でしっかり語っていて中身もかっこいいね。

ロード

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何年か前にTweetを全部消しちゃったんだよね・・・

 十代で衝撃のデビューを飾ったニュージーランドのシンガーのロードちゃんももう24歳。ソーシャルメディアは、アルバム発表の際などにたまーに使うようですが、ほとんど停止状態。最近のインタビューより。

「TikTokガールやインスタグラム・ストーリー・ガールになりたいのかわからなくなった。そこが真の分かれ道だった。”子供でいたいのか?それとも、そこから24歳でちょっとした経験あるリーダーみたいな感じに変わって行きたいのか?”、そんなふうに自分に聞かなくちゃいけなかった。後者が今の自分としてしっくりくるし、そうでありたいと思う。(そうなるまで)ちょっと時間かかったけどね。」

“I didn’t know if I wanted to be a TikTok girl, Instagram stories girl, and it was a real crossroads. I had to be like, ‘Do you want to keep being the kids? Or do you want to transition through that and be something of an elder statesman at 24?’ Which I really feel like I am now, which I love, but it took a minute.”

2021年のThe Sane Lowe Showのインタビューより

レイチェル・マクアダムス

30歳くらいの時のお言葉。彼女みたいなかわいいお顔で言うと素敵なんですけどね。

「ラジオでニュースを聴いたりしているし、テレビも持っていないし、電子メールも苦手なの。」

"I listen to the news on the radio. I don’t have a television and I am really bad at e-mail"

(2009年、People誌とのインタビューより)

ミラ・クニス

以下に出てくる「彼」は、夫のアシュトン・クッチャー。インタビュー当時、30代半ば。

「(SNSの流行という)電車に完全に乗り遅れた。(ー中略ー) 彼は、かつてソーシャル・メディアが人々を結びつけていた頃はソーシャル・メディアに対して前向きだったの。でも、誰が一番うるさいか、誰が一番怒っているか、誰が一番ネガティブか、そんなことばかりの醜いものになってしまった。そうなるともうやってて楽しいものじゃない。」

“I was so late to that train. (snip) He used to be incredibly forward-thinking with social media, when the intent was to connect to people. But it took an ugly turn and became all about who can be the loudest, who can be the angriest and the most negative. Then it’s just not a fun game to play.”
2018年、コスモポリタン誌とのインタビューより)

シアーシャ・ローナン

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酷い邦題! シアーシャちゃんは左から二番目、ジョー役でした

2018年、インタビュー当時23歳でした。

「(ソーシャルメディアを使うのは)手がかかりすぎるし、ストレスも大き過ぎる。ここ2,3年は電話やテクノロジーとちょっと距離を置く感じでやってきているんです。」

"It’s too much work for me and too stressful. I’ve developed a kind of distant relationship with my phone and technology over the last couple of years."
2018年The Wrapとのインタビューより)

エマ・ストーン

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『ラ・ラ・ランド』より『ゾンビーランド』

「自分にとってポジティブなものじゃないと思う。」

"I think it wouldn’t be a positive thing for me."
2018年ELLE誌に掲載された、友人であるジェニファー・ローレンスによるインタビューより)

ティナ・フェイ

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ティナ・フェイの才能が欲しい・・・

女優兼コメディアン、コメディ作家なのでちょっとふざけながら理由を語っている。

「(SNSを使わないのは)乳首出せるようになるまで待ってるだけ。乳首が見せられないなんて、そんなものはやるわけにいかないわ」

“I’m just waiting to be able to show my nipples. If I can't show my nipples, I don’t want any part of it.”

「ほんとのところは、一日のうちで時間が無いっていうだけ。私はたくさん仕事しているし、仕事していない時間は子供といたい。自分の食事がどんな感じだったかなんてインスタグラムとかに公開したりはしません。」

“There’s just not enough hours in the day for it really. We both work a lot. And if we have time that we’re not working, we want to be with our kids. I’m not going to be curating what my meal looked like for Instagram or something.”

(テレビ番組Entertainment Tonight出演時のインタビューより)

 ソースが見つけられませんが、ティナ・フェイ、どっかで「あなたSNSやったらすごく面白いこと書きそうなのに」と言われ、「なんで(ギャラも出ないSNSに)タダでジョークあげなくちゃいけないの?」とも言ってましたっけ。

クリステン・スチュアート

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いつも物憂げな表情 クリステンのはじけるような笑顔が見てみたい

以下の言葉を語った当時26歳だったクリステン。プライベートアカウントは持っている様子。

「馬鹿らしく聞こえるだろうし、みんな言ってる事だし、年寄りみたいだけど、(SNSの代わりに)もっとクールなことができるのに。SNSって時間食うし。」

"I know I sound ridiculous and really obvious; everyone says this, and I sound like an older person, but we could be doing way cooler shit. It's so time consuming."
2016年BAZAAR誌とのインタビューより

スカーレット・ヨハンソン

まだ20代だったスカヨハさんのお言葉。彼女は、お色気だけじゃなくて頭も良さそう。きれいな人だけだったらいっぱいいるもんね。中身も伴ってないとあのポジションまではいけない。

「個人的に、自分をそうやってブランディングする必要を感じない。情報を共有したり何かの認知度を上げたりする手段としては、ソーシャル・ネットワークは前例の無い新しさがあると思うけど。(中略)自分の日常生活を詳しくひっきりなしに伝えるなんて、一番やりたくないこと。一部の俳優たちがTwitterアカウントを持っているのはいつも驚きですね。」

Personally, I don’t feel the need to brand myself in that way. But as a means to share information and raise awareness of things, I think these social-networking platforms are unprecedented. (snip) I can’t think of anything I’d rather do less than have to continuously share details of my everyday life. I’m always surprised that certain actors have Twitter accounts.
2011年Interview Magazine誌のインタビューより)

ダニエル・ラドクリフ

彼ももう30代!! 信じられない。最近の動画より。

「このことに関しては、知的で考え抜かれた理由があると言いたいところだけど、もしTwitterとかやったら、次の朝には ”ダニエル・ラドクリフ、Twitterで一般人と喧嘩” みたいなニュースでみんなを起こすことになることは100%確実だからなんだ。(中略)正直、メンタルもそんなに強くないし。今はだいぶメンタルもマシになってきてるけどね。」

"I would love to say there's some sort of intellectual, well-thought-out reason for this, because I considered getting a Twitter, and I 100 percent know that if I did, you all would be waking up to stories of like, 'Dan Radcliffe gets into fight with random person on Twitter. (snip) I don't honestly think I'm mentally strong enough, but right now I think I'm all right with that.
"2020年の動画「First We Feasts' Hot Ones」より

クエンティン・タランティーノ

 撮影現場で携帯を出したスタッフや俳優をその場でクビにするほど、携帯電話が嫌い。というか、デジタル・テクノロジーを憎んでいる? ブラット・ピットが、タラちゃんはいまだに自宅に昔の留守電(カセットテープがくるくる回るやつ)を置いていて、彼に連絡をとるにはそこにメッセージを残すしかないということを暴露。SNSなどやるはずもない。現在50代とは思えない。
 私は、彼は実は公にしている誕生日の50年くらい前に生まれていて、タイムトラベルしてきた人なのではないかと疑っている。

もう一度結論

 私が最後に出て来たタランティーノみたいだったら・・・。多分、周囲にむちゃくちゃ心配されるだけだろう。

 タラちゃんだから許される。タラちゃんがそうだとキャラの一部。クレイジーでクール。才能さえあればなんでもありなんだよね。

 最後に、24歳で悟ったロードちゃんのTwitterアカウントのプロフィールよりどうぞ!!

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ロードちゃんのプロフィール欄のお言葉・・・

How we spend our days is, of course, how we spend our lives. (日々をどう過ごすかは、言うまでもなく、どんな人生を送るかということ。)

 おじさんおばさん、毎日を大切にね! 

 と、ロードちゃんが私にお説教しているー!!! ヒィーーーー!!!

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【Doomscrolling】ネガティブなニュースをチェックするのを止められない・・・その行動に名前があったとは

 すごいニュースです!! 

 奥さん、知ってました? 

 2021年があと四か月で終わるんですって!!!

 こんなひどいことがあっていいんでしょうか? どうしてこんな、信じられないようなことが起こり得るんでしょうか!? 私、小切手にも、5年日記にも、日付の欄にしょっちゅう「2020」って書いてるんですよ、い・ま・だ・に!!!!!

 なんか2020年のパンデミックが始まったあたりから時間が止まっていて、まだ2020年もちゃんと消化できていない感じなんですが。

 何をやっていたんだろう・・・?

 いろんな出来事があったはずなんですが、振り返ると、
「なんだか不安→スマホでニュースやらソーシャルメディアをやたらチェック→もっと不安→もっと情報を!!とまたチェック→さすがにもうやめよう→いや、でもやっぱ不安→スマホをチェック」
という感じで、常に何か心がザワザワとネガティブになる出来事があり、それをスマホで無意識に追い続けていた自分が浮かぶ。

 パンデミックとか・・・
 大統領選挙後の国内の混乱とか・・・
 1月6日の連邦議事堂襲撃事件*1とか・・・
 ワクチン未接種問題とか・・・

 一度気になりだすと、もう止まらない。何度チェックしても同じような内容しか無いのに、なんかずーっと関連するニュースとかソーシャル・メディアでの皆さんの意見なんかをどんどんどんどん読んでしまう。暇なんでしょと言われそうだけど、何が問題って、寝る時間削ったり、やらなくちゃいけないこをと先延ばしにしても、そんなことに時間を費やしてしまうってこと。

 なんかおかしい。決して楽しいわけじゃない。むしろ怒りや不安、悲しみ等々のネガティブな感情しか感じていない。一種の自傷行為? でも不思議と落ち着くというか癖になるというか・・・コーヒーみたいなもの? あれだって味自体がまずいのにいつの間にか飲まないと気がすまなくなった。

 ネガティブなニュースをチェックするのには不思議な中毒性がある。

 これって私だけか、と思っていたら、先日某ポッドキャストで「Doomscrollingを止めるためには」みたいな特集をやっていて、びっくり。積極的に意識することなくネガティブなニュースをスクロールし続けてしまう、それは多くの人に見られる行動で、「Doomscrolling(ドゥーム・スクローリング)」や「Doomsurfing(ドゥーム・サーフィン)」と名付けられ、多くの人の共感を呼んでいるとか。
 
 私は、Doomscrollingの一番の問題は、時間が無駄になる、それだと思うんだけど、それだけではなく心の有りようにも悪影響が大きいらしい。

 確かに、「365日来る日も来る日も朝一番にDoomscrollingして、夜もDoomscrollingしながら眠りにおちる」っていうのと、「スマホを寝室に持って行かないで、毎朝ポジティブな名言集を読んで、毎晩好きな小説読みながら眠りに落ちる」という生活では、長期的に見て人生の幸福感とか人間的な成長とかにかなりの差が出そうな感じがする。

 それにしても、Doomscrollingに陥る理由が分からない。

 いろんな人の考察を読んだけど、どれもしっくり来ないし、どれも真実な気がする。

「このニュースの渦中にいる人よりは幸福と思って落ち着くから」
「誰も交通事故から目をそらすことはできないから」
「自分が安全でいるために、不安な出来事に対する情報をできるだけ集めたい」
「多くの人の人生は退屈で、ネガティブなニュースでさえも彼らの人生に起こった数少ないエキサイティングな出来事だから」
「単なるマッスル・メモリー。ちょっとでも暇があると無意識に手がスマホをつかんでスクロールやサーフィンをしてしまっているだけ」

 私は、以下のミームが一番自分の感覚に近いかなと思った。

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「ドゥーム・スクローリングをやめられない。列車事故を超スロー・モーションで千の違う角度からいっぺんに観ているみたい。」」

 要は、やはりめったに起こらない出来事に魅せられているところがあると思うのです。でも、めったに起こらない善行のニュースとかには、みんなそれほど反応しないから、やはり何か人間にはダークな情報を求める脳みその癖みたいなものがあるのか?

 ドゥーム・スクローリング・・・やめたいです!! やらないようにしたいです!!

 皆さん、そのための方法を一生懸命考えていらっしゃいましたが、やはりこの行動の一番の原因となっているのは、「スマホ」。なので、スマホをすぐに手の届くところに置かない、寝室に持って行かない、やめるためにはこれ必須。そして、ん?しまったドゥーム・スクローリングしそうだ、と感じた瞬間ゲームコントローラーを持ってゲーム始める、と書いていたライターさんもいらっしゃいました。ネガティブなニュースをチェックするよりゲームのほうがマシだろ、という・・・。より生産的な何かを選ぶなら、オリンピックの編み物王子のように編み物に走るのもいいかも。あれは没頭できる。

 あとは、やっぱソーシャルメディアとかニュースメディアとかにアルゴリズムを変えてもらう。ネガティブなニュースを10個表示したら、全然関係ないモチベーション・アップのための名言呟いてるようなアカウントから3個くらい唐突に出すとか? 

 私は決意した!!

 もう2021年の残りの4か月は、ドゥーム・スクローリングはしないぞ!


 ・・・・・・そういえば、米国のイスラム国へのドローン攻撃のあと、アフガニスタンは荒れてないんだろうか。大丈夫なんだろうか。

 ちょっとチェックするか。

 
 

*1:犠牲者が少なかったせいか、日本ではあまり報道されなかったみたいだけど、アメリカ国内では国が滅亡するかのような騒ぎで、いまだに事件の検証や追及の報道が毎日のようにある

【お子さんの障害で人生を失ったと思っているあなたへ】あなたはひとりぼっち、でもひとりでもない

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これから入水自殺・・・ではない

 毎週のように、精神科とか、救急病院とか、学校の先生と緊急ミーティングとか、もう・・・もう・・・人生最高にキラッキラの夏・・・じゃない。
 
 私は、重度自閉症の子供を育てているのですが、この半年くらい、坂道を転がるように症状が悪化していって、きつい。今年は、ロックダウンしてた去年よりずっとどこにも外に出られなかった。発作のように暴れ出す自閉症児の暴力から、家族みんなして逃げ回っていた思い出しか無い。

 孤独だなあ、社会から孤立してしまっているなあと感じる。

 こんなにひとりぼっちなのは私が移民でしかも障害児の親のせいだ、日本に帰ればせめてもう少し親の会とかでも友達ができるんじゃないだろうか、などと思ったりもしていたけれど・・・。

 今、居住している州の自閉症の親たちのFacebookのグループでこんな投稿を見た。

Do any mom's feel as if you no longer have a life?
(人生がなくなってしまったように感じているお母さんいませんか?)

Like I don't work cuz daycares won't take my son cuz he requires to much attention and could harm other kids.
(私は働けないんです。息子は手がかかるし、他の子を傷つけるかもしれないって保育所が預かってくれないから。)

I can't find sitters that last more then a day or two.
(1、2日以上続くベビーシッターだって見つけられない。)

I have lost all my friends they just stopped coming around or even talking to me.
(友達もいなくなった。近寄って来ないっていうか、話しかけてもこないよ。)

So I sit in my house all day everyday and I'm going crazy lol.
(だから一日中家で座ってる。頭おかしくなりそうハハハ)

 もうねー、返信欄は「Me too」「Same」の嵐です。

「あなただけじゃない」
「わたしもひとりぼっちと感じる」
「家族も友人も失ったよ」
「絵とか写真とか家の改築プロジェクトとか、いろんなことに没頭して孤独を紛らわせている。それでもひとりなことは変わらないけど、くよくよ考えるのは減るよ」

 こういうの読んでいると、私はたとえ日本に帰っても、世界のどこにいても、今の孤独からは抜け出せないんだろうなあと思う。

 社会に入って行けない人の面倒を見るっていうことは、基本的に孤独と仲良くならないといけない仕事なんだろう。
 
 ところで皆さんは、『オランダへようこそ』という詩をご存知でしょうか? ダウン症の子を産んだアメリカ人の作家エミリー・パール・キングスレイさんの美しいエッセイ(詩?)です。原文はここ、日本語訳は検索すればわんさか出て来る。著作権侵害が怖いのでまるまる載せることはできないけれど、こんな感じ。

「私はずっと休暇でイタリア旅行することを夢見て生きて来た。たくさんイタリアのことを勉強して準備して飛行機に乗って、着いたところで言われたのは、ここはオランダです、という言葉。
オランダに来たかったわけじゃない。こんなはずではなかった。友人たちはイタリアで楽しく過ごしている。その話を聴くたびに心が痛む。失った夢は取り戻せない。でも、次第にオランダの美しい景色が見えてきた。イタリアとは少し違う場所と言うだけでここはここで素晴らしい。
いつまでも、イタリアに行けなかったことを嘆いていると、今いるオランダで生きる喜びを失ってしまうよ?」

ざっくりと書くと上記のような感じなのですが・・・。

 私は、セラピストのロリ・ゴットリーブの本『Maybe You Should Talk To Someone』で上記が紹介されていたことで、初めてそのエッセイの存在を知り、その時は涙涙で読んだんだけど、今はなんというか、いやいや、イタリアとオランダなんてもんじゃないでしょ、とつっこみを入れたくなってしまう。(ロリ・ゴットリーブの本に出て来た患者さんも確か「いまいちしっくりこない文章だ」と言っていたように記憶している)

 障害も重いものになると、なんかもうオランダへようこそって言われても、ここはシリアか北朝鮮か米軍撤退後のアフガニスタンか?という気持ちになる人も多いんじゃないかなと。なんか日々生きているだけでせいいっぱいで、オランダの美しさに思いをはせる余裕も無く、失ったイタリア旅行を嘆く気持ちすら湧かなくなってくる。

 友達や家族が寄って来なくなるのも仕方ない。

「私、シリアに住むことになっちゃった! 色々と大変だけど、是非遊びに来てね!!」

と言われても積極的に遊びに行きたくなる人はいないだろう。

「日本に行きたいところはたくさんあるし・・・それに、私たちが脳天気に観光に行くの、なんか申し訳無いし、ね・・・」

家族や友人がそう考えるのは自然な気がする。友達も家族もあなたを見捨てたわけじゃない。あなたを嫌っているわけでもない。どうしていいのかわからないのである。シリアを知らないから。北朝鮮もアフガニスタンも知らないから。

 きっと離れたのは彼らではない。彼らからすると、あなたがきっとある日突然見知らぬ世界へと去ってしまったように感じているのだろう。

 それにそばに来てもらっても、きっとあなたは孤独と違和感にさいなまれるだろう。あなたが、

「将軍様の粛清の犠牲にならずに、そして餓死せずに生き延びるぞ」

と毎日髪を振り乱している時に、

「息子の志望校合格が厳しそうなの・・・」

という友人が来るようなものである。どちらも悩みが真剣で深刻なことには変わりは無い。しかし話があって盛り上がれるわけもないのだ。生きている世界がまったく違うんだから。

 でも、シリアも北朝鮮もアフガニスタンも人口は一人というわけではない。たくさんの人が生きている。一生懸命、その地で命を燃やしている。

 あなたはきっと、その地ですれ違う見知らぬ人と、

「偉大なる将軍様、万歳!!!」

と挨拶をかわしつつ、何も言わずともその険しい表情の下に、

「あーあ、やってらんないよ、もう。Lotteのチョコパイ、空から降って来ないかなー」

という本音を感じ取り、互いにすれ違ったあとでにやりとするかもしれない。(※北朝鮮ではLotteのチョコパイは貨幣よりも価値があるとか。食糧難の北朝鮮のために国境から風船にチョコパイつけて飛ばしている韓国のボランティアがいるそうです)

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チョコパイ・・・食べる時ボロボロこぼれるのがイヤ

 あなたは人生を失ってなどいない。まだその命がある限り、それが人生。誰かとキャッキャキャッキャと楽しい友人関係を築くことはないかもしれない。でも、同志はどこかに必ずいる。あなたは一人だけど、一人じゃない。

 行けなかったイタリア旅行を嘆いている時間は、あなたには無い。

 あなたが生きることになった土地は、気候も厳しく社会不安も大きいのだ。
 心身のメンテナンスに時間をかけ、誰よりも健康でいるように努力しなくてはならない。
 そして、生き延びるためにたくさんのことを学ばなくてはならない。
 お金も稼がなくてはならない。
 力を貸してくれる人を探し回るのにも時間がかかるだろう。
 行き倒れそうになっている人に、できるなら手も貸してあげないといけない。

 そんなふうに生きているうちに、きっと孤独も忘れてしまうだろう。それでいいのかもしれない。

 全世界の同志たちよ、どこかですれ違うのを楽しみにしています!
 

【Wholesome】やはり海外でも拡散された! 「メダル無しでもあなたは最高」メッセージの男性

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画像は本文とはあまり関係の無い、オリンピック記念バージョンのオレオ

 日本では既にSNSだけではなく、メディアでも騒がれているようですが、下記記事の男性、昨日くらいから海外メディアでも記事にされるようになってきたようです。

www3.nhk.or.jp

 Timeout誌が、英文記事をTwitterでリンクした8月6日あたりから、あらためて拡散の波がどどーんと盛り上がり、オリンピックのトピックでトレンディング入りしている。さすがTwitter。確かに誰かに教えたくなるいい話だもんね。

 でも、私が読んだ上記男性の記事を取り上げた他メディアでは、
「最初、Reddit(英語の巨大掲示板)でバズって有名になった」とあり、チェックしてみたら確かにRedditでスレッドが立ったのは10日前。早っ! やるな、Reddit。もう日本では掲示板文化は廃れたと思っていたけれど、海外ではまだまだ使われているのね。

www.reddit.com

 でもほんとみんな、こんだけいろいろ、SNSやら掲示板サービスやらあってどうやって使い分けてるの?

 それは置いといて、この男性一人でだいぶオリンピックに関する日本のネガティブな拡散を払拭してくれていて、本当に感謝感謝。某O氏のスキャンダルの時と違って、皆さんをハッピーにしている。

 NHKの日本語記事ではメッセージボードを掲げた男性の想いを割と詳しく紹介しているけれど、英文記事では、男性が匿名でいるのを望んでいること、当初は選手を歓迎するメッセージだったけど大会期間中にメダル獲得にこだわる風潮に疑問を感じてメッセージを現在のものに変えたことなどがさらっと書かれているだけ。

 SNSやRedditの皆さんの反応が面白くて・・・まあ、だいたいが絶賛の嵐、「Sweet(素敵だね~いいね~みたいな感じ)」「この男性にメダルを!」みたいなのばかりですが・・・

・「ちゃんとマスクをしてる!」
「しかも鼻までマスクを上げてる」
「この人、外にいるし、周りに誰もいないよね? 私、なんか見落としてる?」(※アメリカではマスク着用推奨は屋内のみ、あるいは人がひしめきあってる屋外のみ)

・「この人、私の家の外に毎日立ってくれるってことはない?」

。「日本の文化が大好き!」
「いやこれ日本の文化じゃないでしょ」
「外から見てるから真の彼らの文化を知らないんだね。同性愛嫌悪と外国人嫌悪の問題とか」
「日本の文化が大好き? 日本の労働環境のこと知ってる? とはいえ、愛すべきところもたくさんある」

・「カメラをパンしたら、オリンピックに抗議してる人もいっぱい映ると思うよ」

・「最初、”選手たち(Athletes)おはよう” じゃなくて、”無神論者たち(Athiests)おはよう” に見えた」(←これ同じことを書いてる人が結構多かった、日本は無神論者多いから???)

 
 絶賛の嵐の中から、ちょっと変わってるのだけピックアップしました。私が、今回の話題でひとつ学んだのは、こういう時に使う「Wholesome」という単語です。

”That's wholesome”
”Wholesome story”
”Japanese are wholesome”

 こーんなコメントばかりなんですよ。ただ一言 ”Wholesome" と書いてる人も多かった。ホールサムホールサムってまたかい、と思って辞書で調べたけど、「健全な、健康に良い、有益な」としか出て来ない。でも、絶対その意味じゃなくて、どうやらこれは「無私の心だね、やさしいね、思いやりがあるね」みたいな意味で、まさに今回みたいなケースで「wholesomeだね」と使われているようなのです。ネットスラングではなく、日常会話でも使われるみたい。最近普及してきた新しい使い方かな。今回の一件に対する皆さんのコメントで頻出してました。

 よかった~これで私も、「あなたってWholesomeね」って言われた時きょとんとしなくて済む~・・・って一生言われることないか・・・。

 それにしても、昨日かおとといくらいにNYタイムズでこんな記事を見かけましたよ。銀メダルや銅メダルをとったのに泣いて謝罪する日本人選手の特集記事。

世界で二位でも謝罪 東京オリンピックで銀メダルでも謝罪する日本人選手たち
Second Best in the World at the Tokyo Olympics, but Still Saying Sorry - The New York Times

 日本の「謝罪文化」と絡めた記事でした。周囲への深い感謝がそうさせているのだ、みたいな好意的な記事ではあったけれど。外から見ると、かなり不思議みたい。
 確かに、アメリカの選手は、どんなに期待はずれな成績でも謝らないな。「残念だった」「今日はついてなかった(It wasn't my day)」とか言うけど、なんか笑顔だったり毅然としていたり。

 円谷幸吉さんの悲劇も紹介されていましたし・・・

傷ついたメダリストへのエレジー
Japanese Marathoner Was a Hero and a Cautionary Tale - The New York Times

 「メダル無くてもあなたは最高」のメッセージ、英語で海外選手に向けて発信しているようですが、もしかしてこれが一番必要なのは日本人選手だったかも?

【Breakthrough Infection】ワクチン接種完了後も感染してウィルスを人にばらまくケース

 東京オリンピック、楽しく観戦してますかー? 
 
 それどころじゃないんだよ!緊急事態なんだってば!という声が聞こえるようです。本当に不思議な感じです。緊急事態で大変なんだけど、盛り上がっている・・・?ような、水と油をぐるぐるに混ぜようとしているような不思議さ。

 我が家の子供たちは、日本大好き(一応日本人ですから)で、

「日本でやってるんだよね!? 観たい観たい!」

と言って楽しみにNBCのオリンピック番組を観始めましたが、彼らのイメージだと「日本=じいちゃんばあちゃんちの周辺」なんですよね。なぜかオリンピック放映でその辺りがバンバン映ると思っていた様子。実際は競技会場しか映らず、なんか知らん人たちが頑張って跳んだり走ったり泳いだりしている・・・たまにちらっと東京の遠景が映るだけか~、ということで、たちまち飽きてどっか行ってしまったという・・・。

 ちなみに、オリンピックでアメリカの選手を応援している自分に気付いた時、それは「アメリカに長く居すぎてしまったな」と思う瞬間のひとつでもあります。もちろん日本の選手も応援しているんですよ、でも、こちらのオリンピック番組は当然アメリカの選手中心に放映されていて、他国の選手はあまり取り上げられない。日本でももちろん自国中心ですよね? そういう番組を見ていると、いつしかアメリカ選手に詳しくなり、自然と親近感を覚えて応援するようになってしまうという・・・。

 アメリカと日本、二つのスポーツ大国を応援できるのは幸せなことです。オリンピックの期間中、合計すると1時間半くらいしかテレビ観戦できていませんが。

 そして、その短い観戦中に「おお、アメリカだっ、これはまぎれもなくアメリカだーッ」と思ったのが。以下のような光景です。

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水泳の金メダリスト、ケイラブ・ドレッセル選手の家族の感染、じゃなくて観戦風景

 応援に行けない家族・親戚縁者が集まって、俗に言う「ウォッチ・パーティー」をしており、金メダルに湧く感動的な瞬間なのですが・・・

 狭い空間に人間がひしめきあい、誰もマスクはしていない・・・さすがアメリカ・・・さすがフロリダ・・・。

 「マスク無し人間たちがぎゅうぎゅう」という何か懐かしいものを見た、そんな気がします。

 こちらは、女子体操の個人総合で見事金メダルを獲得したスニ・リー選手の地元のウォッチ・パーティーの様子。

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女子体操のスニ・リーちゃんの地元の様子、さすがアジア系コミュニティなので奥の人たちは数人マスクをしている

 もう、もみくちゃ・・・。

 それもこれも、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)が春先に「ワクチン接種終わったら、もうマスクをしなくてよろしい」と公にガイドラインを出したため。マスクひとつで殺す殺さないの騒ぎになるアメリカなので、今年四月に各州で成人へのワクチン配布が始まった当時、

「ワクチン打ってもマスクしてソーシャル・ディスタンス保てって? それじゃ打つ前と変わらないじゃないか」

という声が高まった。ワクチン接種率を上げるためにも接種した人にはいいことがあるふうにしてやろう、という流れになり、マスク着用義務が緩和された・・・と記憶しています。いやいや、ワクチン接種したら重症化しなくなるという最もでかいメリットがあるんだからそれでいいでしょ、と思うんですけどね。

 しかし先週の終わりくらいか? 少し前にフロリダとマサチューセッツでワクチン接種者の集団内で起こったコロナのアウトブレイクをCDCが精査した結果、ブレイクスルー感染に関してだいたいのことが分かった、と発表。
 
 ブレイクスルー感染:ワクチン接種後にコロナに感染すること。

 現時点で分かっているのは・・・

1)現在、米国で感染報告がなされているのはデルタ株がほとんど。
2)ブレイクスルー感染は、1%程度の確率。つまり100人のワクチン接種者の中で一人くらい。
3)ブレイクスルー感染で、入院するほど具合が悪くなる人はまれ。ほとんどの人は無症状か、発症しても風邪程度の症状。ちょっと熱っぽいし咳やくしゃみが出るから2,3日仕事休もうかな・・・くらいで済む。風邪とインフルの中間くらい、と表現していた人もいた。
4)死にいたることはほぼ無いと言っていい。重篤化している人はほとんどがCovid以外の健康上の問題を持っている人。
5)若い人でもブレイクスルー感染は起こる。
6)感染したら、ワクチン接種者でも未接種者と同じくらい、ウィルスを人にばらまく。デルタ変異種は一人の感染者から8人にうつると言われている。

 つまり、ワクチンを接種していたらその人が入院したり死に至ることはない。でも、他の人に感染させるリスクはワクチン接種してもしなくても変わんないよ、ということで・・・。それを防ぐためにマスク着用義務はやっぱり緩めちゃダメだったということになる。
 CDC・・・ってば・・・。『The Premonition(邦題:最悪の予感: パンデミックとの戦い)』を読んで以来、CDCはなんか後手後手で信頼できないとは思っていたけれど、やっぱりダメダメだな。

 1)を見る限り、100人に一人か~ブレイクスルー感染の確率って低いじゃないの、と思うけれど、アメリカの人口の7割の数の100分の1はすごい数になるし、それがまた8人にばらまくとなるとあとは指数関数的に増え、ワクチンを接種していない3割の国民は従来種より危険なデルタ株に抗体が無いわけで・・・。また医療崩壊まっしぐら・・・。ワクチン接種率が低いエリアで感染拡大が止まらず、病院がいっぱいになっているのも納得。私の住んでいる地域は、それほど接種率は低くはないけれど、ニュースを観る限り、じわじわ・・・じわじわ・・・と感染が拡大している感じはある。

 ということで、CDCの上記発表後、「終わった終わったヒャッハー!夏だ!海だ!山だ!リゾートだ!音楽フェスだ!パーティーだ! マスクってなに!? ねえ、それなんのこと!?」と浮かれていたアメリカは一気に数か月前の引き締めモードに戻り始めている。

 自宅から勤務できる職種の人は再び自宅勤務推奨になったり、小売店でもマスク着用を求められたり。連邦職員(日本の国家公務員ね)は原則全員ワクチン接種が義務、出来ない人はめんどくさい検査受けて陰性証明提出義務。大きな組織は同じような命令を職員に出すところも増えて来た。

 日本も現在、感染拡大で大変と聞いている。ワクチン接種したくても予約ができない・・・とSNSなんかでも見かけたりはする。
 でもでも、日本はやる気になったらあっという間にワクチン接種率80%-90%になって、マスクもちゃんとして、デルタ株もたちまちやっつけそうな感じがする。危機に際して、一致団結の力がすごいし、やっぱり世間と違うことをしづらい雰囲気があるからマスクもみんなちゃんとする。
 
 金と国力でワクチン大量生産して、コロナよさよーならー!とばかりに浮かれていたアメリカは、結局、個人主義が邪魔して、また他国が落ち着いてきた時に泥沼にはまっていそう。

 国民性が優れているのに、国全体で見るとなんとなくもたついている日本。
 国に力はあるのに、国民がバラバラで自滅しているアメリカ。

 なんかね・・・、もうどっちも観ているともどかしいのです。ポテンシャルはあるのに成績が伸びない子供みたい。どっちとも、どうにかできないもんか、本当に。

Twisties (空中回転技の最中に起こるイップス状態) シモーネ・バイルズ選手の棄権で次々と明るみに出る体操競技のホラーな現状

 今回の東京オリンピックで、アメリカの顔だった女子体操のシモーネ・バイルズの団体競技中の突然の棄権、かなりの衝撃でした。
「史上最強の体操選手、シモーネ・バイルズは○○日に登場します」
という感じでオリンピック開始前から報道でその名を連呼されていたり、CMや広告でも起用されていたり、私のようにあまりオリンピックに興味が無い人でも、嫌でも耳に目に入るチームUSAの目玉、大本命と言った感じだった彼女。

 団体競技の跳馬演技の直後に突如、「もう無理」となったようで、理由も「メンタル・ヘルス」だったためか、大坂なおみさんのケースと並べて語られている記事も多く観られました。
 大坂さんの時同様、メディアの大半は彼女の決断を支持、尊重する論調だけど、ソーシャルメディアでは賛否両論。「quitting」がトレンディングになっていました。
「無責任だ」
「何のために代表になったのか、代表落ちした人の気持ちはどうなる」
「チームメイトのことを考えていない」
「すぐにやめてしまうのをよしとすると、子供に悪影響が」
「怪我をしながらも演技を続け、アメリカに初の体操団体の金メダルをもたらしたケリー・ストラッグ*1の勇気を見よ」

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ピアース・モルガンのツイート

(こんなことを言って)悪いね、シモーネ・バイルズ、でも、楽しくないからといって途中でやめてしまうことはまったく英雄でも勇敢でもない。君はチームメイトやファンや祖国をがっかりさせたんだ。
(ピアース・モルガン*2のツイートより)

Sorry Simone Biles, but there’s nothing heroic or brave about quitting because you’re not having ‘fun’ – you let down your team-mates, your fans and your country.

 ピアース・モルガンは、多分炎上商法ですよね? この方、大坂さんとかメーガン・マークルさんとかも目の敵にしてらっしゃる。多分、上から目線の辛口コメントでみんなを怒らせて番組の視聴率アップさせているものと思われます。

 が、今回のシモーネ・バイルズちゃんのケース・・・。

 なおみちゃんの記者会見拒否とかとはまったく次元が違うと思いました。これは棄権しなくちゃダメ。どちらかというと、本人がやると言ってもコーチやチームメイトが止めに入らないといけないケースではないでしょうか。

 バイルズ選手は、跳馬の協議中に「Twisties」という状態になってしまったとのこと。これは、体操やダイビングなど空中でひねりや回転を必要とする競技をしている人なら、「ああ、あれね~」な現象のようです。
 さかさまになりながら体をひねってクルクル回って・・・というような動きを数秒で行うことは、脳に力学的な負担が大きくかかるらしく、空中で自分が今何をしていてどのへんにいるのかがわからなくなる危険ももちろんあり、それはもうおびただしい回数の繰り返し練習の末、マッスル・メモリーと本能に頼りながら技を行うことになる。つまり、彼女は車の運転のように頭で考えなくても大技ができるレベルにあったはず。しかし、「Twisties」が起こってしまった。
 「Twisties」は、空中で回っている最中に、習得した「感覚」がどうにも再現できなくなる、野球やゴルフでいうところのイップスに非常に近い状態。高いプレッシャーがかかった場面で出やすいそうです。
 跳んで回っている最中のイップス。恐ろし過ぎます。
 体操選手が演技中にそれを一度でも経験してしまうと、その感じを忘れることは難しく、幼稚園レベルの技からひとつひとつやり直して克服を試みるケースもあるとのこと。
 バイルズ選手は、上記をうまく説明できず「メンタルヘルス」という言葉を使ったり、謎コメントを出したりしてしまったようですが、よりによってオリンピック本番という一番大切な場面で「Twisties」が出てしまってもうできなくなってしまった、というのが真相のようです。
 これは手や足を折ったのと同じこと。やめる・やめないではなく、競技続行不可能な「怪我」です。ほかの競技だったらそれでも続行できたかもしれない。しかし、ここで無理やりやらせたらどうなるか。はい、過去の恐怖実例、痛ましい悲劇を読んでお考え下さい。

ソ連の体操選手、エレナ・ムヒナ:
モスクワ・オリンピックを控え、「できない、首を折ってしまう」と事前にコーチに抗議したものの、大衆とコーチからのプレッシャーに勝てず、現在禁止されている危険技をやらされて顎から落下し、20歳で四肢麻痺に。そしてその合併症で46歳の若さで死去。

アメリカの体操選手、ジュリサ・ゴメス:
ソウル・オリンピックの代表候補。前哨戦のような大会(日本で開催されていた)で、練習での成功率が高いとは言えない技を跳馬で挑戦、失敗して首から下が麻痺。15歳だった。3年後、合併症で死去。

プエルトリコの体操選手、アドリアナ・ダフィー:
1989年の体操世界選手権にプエルトリコ代表として出場、跳馬の練習中に首を負傷。17歳で四肢麻痺。

中国の体操選手、サン・リー:
1997年の中国の跳馬のナショナル・チャンピオン。1998年の国際試合の跳馬のウォームアップ中に負傷、17歳で四肢麻痺。

アメリカの体操選手、ドミニク・モセアヌ:
アトランタ五輪で史上最年少(14歳)の体操金メダリストとなった選手。上記の選手のような悲劇には見舞われてはいないものの、オリンピックで競技中に一歩間違えば大事故だった平均台演技の後、何の検査も診察も無しに数分後に床運動で演技するよう強要された経験を投稿。

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思いきり頭から落ちてます・・・

私たちの競技では、水の無いプールに飛び込むことを余儀なくされる。地面を見つける能力を失ったら、その結果は致命的。それがシモーネ・バイルズの決断の理由の一部だと思う。彼女は、チームと自分自身のために正しい決断をした。
(ドミニク・モセアヌのツイートより)

In our sport, we essentially dive into a pool w/ no water. When you lose your ability to find the ground—which appears to be part of
@Simone_Biles
decision—-the consequences can be catastrophic. She made the right decision for the team & herself.

 そう、体操は「調子が悪い、出来ないかもしれない」という人にやらせるには危険すぎる競技なのです!!

「イップスだと思うんだ、うまく体がコントロールできない」
「なにぃ!? 甘えんな、最後までやれよ!! 行け、おまえならできる!!」

こんな感じで選手送り出していいのは、ゲートボールとかバッグトス・トーナメントくらいでは・・・。

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バッグ・トス・トーナメント、田舎のお祭りで結構人気

cfarnsworthによるPixabayからの画像

 バイルズ選手も「メンタルヘルスを守るため」っていう言い方じゃなくて、「私の命とこれからの人生を守るため」って言えばよかったのにね。

 バイルズ選手批判派が比較しているアトランタ五輪のヒロインの一人で怪我した足でもう一種目を見事やりとげたケリ・ストラッグ選手も、

「皆が行けというから足がおかしかったけどやるしかなかった」
「あとで、私があそこで演技しなくても点数的に金メダルはとれていたということを知った。そのことを知らされていたら、私は決してあの場面で演技はしなかった」

と裏切られたような気持ちを語っている。彼女は、そのオリンピックの後で二度と競技に戻ることは無かったそうです。その彼女ももちろん、今回のバイルズ選手の決断を支持している。

 とにかく、過去の体操のレジェンドたちは「よくやった!! それでいい!!」というコメントしかないですよね。批判しているのは、多分体操を本格的にやったことがない人ばかりです。大坂なおみちゃんのケースとはそこが少し違うかな。

 アメリカの女子体操界、ラリー・ナッサー医師の性的虐待問題もあったし、闇が深すぎる。幼く才能のある女の子たちから、搾取している体質が絶対にある。親もスポーツ至上主義に染まり過ぎ。

 シモーネ・バイルズちゃんは、本物のチャンピオン! 子供に悪影響を与えるどころか、女子体操界の幼い体操選手たちに、自分の限界をよく知り無理だと思ったらきちんと声を上げようという大切なメッセージを残した。体操がすごいだけじゃなくて、聡明・賢明な女の子なんでしょう。最近の女の子は頼もしいね。

 スポーツって人生の質を向上させるためにあるはず。
 そのはずなのに、最近は苦しむアスリートが多過ぎる。アスリートは「アスリート」っていう生き物じゃなくて人間。あまりに超人な人が多いから、そのことを忘れてしまいそうになるけれど、結局、人間、なんだよね。

*1:アトランタ五輪体操のヒロインにされている

*2:英国の有名テレビ司会者

Trailblazers (その道の開拓者) - メジャーリーグ初、女性だけで実況中継した試合を観てみた

 2021年7月20日の朝のニュース。

 「今夜は、メジャーリーグベースボールにとって歴史的な夜です!」

というアナウンサーの感慨深い声が聞こえてきて、何事かと思ったら、実況や解説に一切男性を使わず、全員女性で試合を放送するとのこと。百年を越えるリーグの歴史で初めてだそうです。
 

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FoxスポーツのTwitterより

 Traiblazers(先駆者)として歴史に名を刻むことになったのが画像の女性5名。

試合前・試合後の番組の司会者(Pre-game and post-game show host)2名
実況(play-by-play announcer)1名
実況と組む解説(Analysist)1名
フィールド・リポーター (On-field reporter) 1名

 野球の試合が上記のような構成で実況されていることを初めて知った。

 彼女たちが実況した試合は、ボルチモア・オリオールズ対タンパベイ・レイズで、フロリダのタンパから生中継。どっちのチームも全然興味がないんだけど、よく考えてみたら確かに女が野球実況するのを日本でもアメリカでも聞いたことがない。そのことに疑問を持ったことすら無かった。

 ちょっと興味が湧き観てみようかなと思ったら、「歴史的な快挙」みたいに騒がれている割にはテレビ放映は無く、YouTubeでライブストリーミングされるのみ。
 しかし、それがすごくよかった。
 今回の試合が中継されたのは、YoutubeのMLBチャンネルの中の番組「MLB Game of the Week」。毎週1試合、この番組でMLBが選んだ試合が生中継され、全世界どこからでもタダで視聴可能ということを今回初めて知った。
 せっかく女性が歴史を刻むのにテレビでやらないの?という疑問の声がネットではちらほら観られたけれど、見方を変えれば歴史的な試合だからこそ全世界の人が1週間たくさん観られるような場所で放映してくれたということかもしれない。  
 ストリーミング実況も双方向な感じで、試合中の視聴者チャットに書きこまれた内容が即座に実況に読まれたり、試合中もYoutubeのアンケート機能でどんどんアンケートがとられてすぐ結果発表されたり。

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「2021年の終わりに起こっていそうなのは?」アンケートで見事、大谷60本塁打がトップ

 やっぱり時代はネットなんだな。
 試合内容も番組全体も楽しく、思わず最初から最後まで観てしまった。
 上の画像のアンケート「2021年に一番起こりそうなことは?」のところで、みんな大好き大谷選手の話も出ていましたよ。
解説「皆がオータニの素晴らしさに注目していて嬉しい」、
実況「オータニはlikable(性格がいい、感じがいい)な選手でもある」、みたいな感じ。野球ファンには本当に人気者ね、オータニさん。

 この実況中継のスポンサーが「YouTube Shorts」だったおかげで、それがTikTokのYoutube版みたいなサービスであることも初めて知ったし。(最初「YouTubeの短パン?」とクエスチョン・マークで頭がいっぱいになったけれど)

 二十代でステージ3の癌と闘病し、今シーズンに奇跡のカムバックを果たしたトレイ・マンシーニ選手の元気なプレイも観られた。先日のホームラン・ダービーにも特別推薦で出場していたので、日本でも彼の勇気の出るストーリーは紹介されたでしょうか?

 そうそう、肝心の女性実況は、なんか試合が始まったら女性ということを忘れてしまう感じ。いつもの野球実況の声が男から女になっただけに感じた。彼女たちは、マイナーリーグの試合やラジオ実況で今まで長い間経験を積んできた人たちで、野球実況や解説のプロなわけで、今回やっとメジャーから声がかかってメジャーの試合を担当することになっただけ。光栄だけど、数ある試合のひとつ、数ある仕事の一つに過ぎない、と皆さんおっしゃっていました。
 私に深い野球の知識や英語力が無いせいかもしれないけれど、実況も解説もインタビューも、今まで男性がやってきたのと比べてなんら劣るところは無く、逆になんで今まで女にやらせてみようという試みが無かったのかなと思ったくらい。
 日本のプロ野球中継の、あの後手後手の解説者が懐かしくなるくらい本格的でした。「最近当たってませんからね、単打狙いですかね、ここは・・・」と言ってるそばからホームランが出て、「いや~、そろそろ出るなと思ってたんですよ、私は!」みたいな・・・。日本のプロ野球中継、元選手のそういうグダグダ解説にツッコミを入れるのも楽しかった。でも、今回の女性実況ではそういう雰囲気は無かったな。きっちりしっかりやってました。「初の○○」は厳しい目で見られるからね。後に続く人のために失敗はできない、というプレッシャーもあったでしょう。

 私は、実況のメラニー・ニューマンさんがメジャーリーグで初めて女性としてホームランを実況できたら嬉しいだろうな、男性アナウンサーはよくホームラン出ると絶叫するけどどうやるのかな、と試合中にホームランが出るのを楽しみに観てました。そうしたら、登板を終えたレイズの先発投手に実況がインタビューしている真っ最中にレイズの選手がホームランを打ち、
「今年のシーズンでうちのチームで一番ブレイクしたのは~・・・あっ、ランディがセンターに運んだ! 大きい!! ホーームラーン!!」
と、そのインタビューしていた選手に実況されてしまった。よりによってそこだけ男性の声で実況・・・なぜそうなる。みんな笑ってたけど。

「私たちがこういう”初”を全部まだやってるのはクレイジー。私のキャリアはほとんどが、女性初のなんとかこんとかって感じがする。でも、私たちが最後じゃないっていうのはいいこと。」
(実況担当メラニー・ニューマンさんの言葉)

"It's crazy that we're still doing all these firsts. I feel like that's been most of my career has been first female this, first female that. But the good thing about it is we're not the last."

 
 NFLやNBAではもう既に女性実況チームによる放映はすでに行われているそう。MLBもついにその流れに乗って、今回初めてガールズ・オンリーの実況中継になり、すごくわくわくしたけれど、全員男性なのも全員女性なのも不自然と言えば不自然なので、ミックスするのが一番かも。男性の実況陣も、狭い実況ブースでおっさんどうしでひしめき合っているより、たまに女性と仕事するのも楽しそうじゃないですか?

 しかし、残念なことに、今回の試み、賛否両論のようで・・・。

 もちろん、
「こういうのいいね!毎週やっちゃえ!」
「テレビでも流れるといいね!」
「すごくいい実況だったよ、おめでとう!レディース」

という声もあるんだけど、否定的な声が多くて結構驚きました。

「うるさくてすぐにミュートした」
「男のスポーツで女の声が流れるのは我慢ならない」
「そのスポーツをプレイしていないやつに実況や解説されたくない*1
「どうでもいい」
「多様性とか言って全員白人だろ」
「野球の試合で女の声が流れるなんて、男が一番嫌がることだ」

等々。うーーーーん、うーーーーん・・・。

 男は女が好きなんじゃないのぉおおおおおお!?
 
「こんなに野球に詳しい女とビール飲みたいぜ、楽しそうだよな。俺は解説の○○ちゃんのファン」

みたいな流れにはならないのーーーー!? 女子アナにでれでれするみたいな流れにはならないのーーー!? なんでなんで!?

 結論。

 男は女を見るのは好き。でも、聴くのは嫌い。

 男性の皆さん、これで合っているでしょうか? 男も結構複雑なのね。

*1:有名な男性解説者や実況アナの中にも野球のプレイ経験がない人がいる、とつっこまれていましたが

”Abuse(虐待)”, "Torture(拷問)"・・・オリンピック開閉会式楽曲提供者の過去の障害者虐待問題とキャンセル・カルチャー

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画像は本文とは関係の無いWalmartで見かけた食用「蛙の足」

 小山田圭吾さん(akaコーネリアス)の例の問題、海外でも報じられ始めていますね。

 ということは、世界の障害者やその家族の方の中で、私のようにうっかり彼の過去の鬼畜蛮行を読んでショックを受けて落ち込む人が出てきてしまうわけで・・・。彼に正義の鉄槌を下したい人たちは、英語ニュースに「この問題を取り上げてくれてありがとう」とかSNSでコメントをつけていますが、こういう報道が拡がると悲しい思いをする人の波もひろがるので、複雑な心境です。でも、これが無かったことにされるのも納得いかないというか・・・。

 本人がスパッとオリンピックの音楽チームから自分の名前を外せば、それ以上こうして騒がれることも減り、あの鬼畜蛮行が衆目に触れることもなくなり、傷つく人も減ると思うんです。「今からやめたら周囲に迷惑がかかる」というのであれば名前だけ外して陰でひっそりと貢献すればいいのに。

 ところで、各紙の英語記事の見出しの違いが興味深いです。

毎日
「Tokyo Olympics opening ceremony music leader under fire for past bullying(東京五輪開会式の音楽担当、過去のいじめで炎上)」

朝日
「Olympic composer apologizes for historic actions(オリンピックの作曲家、過去の行動を謝罪)」

英紙ガーディアン
「Tokyo 2020 composer apologises for historical bullying of disabled classmates(東京2020の作曲家、障碍者のクラスメイトへの過去のいじめを謝罪)」

英紙テレグラフ
「Japanese composer who abused disabled classmates and forced them to perform sex acts remains involved in opening ceremony(障害のあるクラスメイトを虐待し性的な行為を強要した日本人作曲家、引き続き開会式に関与)」

 テレグラフ紙がセンセーショナルな見出しで読者を惹きつけようとしているのがわかりやすい。テレグラフ紙の内容は、小山田氏の蛮行を具体的に紹介し、氏の謝罪文のほぼ全文も訳して載せ、オリンピックの運営側が小山田氏の問題となった一連の雑誌インタビューを「知らなかった」、としています。
 私がそうだそうだとうなずいたのが、小山田氏が言うところの「心無い行為」を、各紙が「bullying」という言葉を使っている中、テレグラフ紙は「horrific abuse(おぞましい虐待)」という言葉で表現していたところ。
 「Bullying(いじめ)」だと、子供が「やーいやーいバーカ」とか言ったり、無視したくらいにも聞こえるじゃないですか。ここははっきりと「虐待」と書くのがしっくりくるかと。

 見出しは比較的中立だったガーディアン紙は、記事の中身の以下の箇所が興味深かったです。

新たな屈辱が、続いてオリンピックを直撃した。2月には、女性組織委に対する性差別発言により組織委員長の森喜朗が辞任を余儀なくされている。その次月には、開会式・閉会式のクリエイティブ・ディレクターの佐々木宏氏が人気芸人の渡辺直美さんを豚に関連付けたことで辞任した。

The latest embarrassment to hit the Games comes after the resignation of the organising committee’s former president, Yoshiro Mori, who was forced to step down in February after sexist comments about female sports administrators. The following month, the creative director of the opening and closing ceremonies, Hiroshi Sasaki, resigned after likening the popular female celebrity Naomi Watanabe to a pig.

 これは、性差別や容姿差別は許さないが障碍者虐待はいいのか、という遠回しな問題提起・・・? 

 今回の問題で少し思い出したのが、「SNSの女王」、クリッシー・テイゲンの悲惨な転落具合です。日本では「だれ?」な人ですが、アメリカではたいそう人気で、特にSNSの使いこなし具合がクールで、歯に衣着せぬ物言いの頭のいいモデル、みたいなポジションだった。女子にも男子にも一目置かれていたのに。彼女、10年も前のネットいじめが蒸し返され、キャンセルされまくっています。出ていた番組も降板、プロデュースしたキッチングッズ(お料理上手でも知られていた)も発売中止。SNSももちろんやめている。クリッシーでキャンセルされるんだから、小山田圭吾なんてアメリカだったら言わずもがな・・・。
「いじめをしたクリッシーを使い続ける=クリッシーがしたいじめはOKと考えている」、と大衆にとられることを恐れてクリッシーと仕事をしていた関係先は一斉に手を引いてしまう、本当に「キャンセル・カルチャー*1」まっさかりです。

 クリッシーの謝罪は心からのものに思えるけれど、彼女は当分ダメージ・コントロールが大変そう。10年前はOKだったノリ、
「エマ・ストーンが売れてんのを見て、リンジー(・ローハン)の手首にはまた傷が増えてんじゃない?」
みたいツイートが今はNGになってしまった(リンジー・ローハンはメンタルヘルスの安定に苦しみ、リストカットを繰り返していた女優)。その時代ではまあ受け入れられていたことが、時が経つと許されない行為となっていくことがある。でも、その行為自体は時が経ってもいつでもネットにある・・・・・・。

 私だって障害児の親、小山田圭吾みたいなのが表舞台でちやほやされるのなんて見たくない。辞めればいいのに、とは思う。でも、キャンセル・カルチャーが行き過ぎるのも怖いです。

 オリンピックの運営側の方々には、どうしても彼を外したくないなら、今回のことを問われて「知らなかった」では無くてもっと心がこもった言葉が欲しかったな。パラリンピックに出る方々、あるいはもっとひろく社会で障害と生きている方々をもう少し思いやる言葉がほしかった。

「どのように遠い過去であっても、報道されている内容のような行為をしていた人物がオリンピックに関わることには抵抗がある。被害者や被害者の方と同じ境遇にある方は報道を見て傷づいておられることだろう。しかし、人は変われると思いたい。小山田氏が今後の人生で蛮行を償っていく覚悟があるものと信じている。」

 無難なメッセージではなく、これくらい↑言ってほしかったなあ。

 最後にReddit(英語圏の巨大掲示板)から、いくつか皆さんのコメント訳しときますね~。こういうことあると日本全体が「?」な目で見られるからほんっとためいき出ますね。

  • こいつ、過去のいじめをやった側として一つの雑誌に22ページに渡って反省も後悔も無く手柄みたいにはっきり語ってやがる。で、別の雑誌にも短く語ってるし。なんでこんなこと話題にしてるわけ? こいつはサイコパスだ。 (The dude straight up talked about his bullying past as an offender for 22 pages in one magazine without remorse or reflection as if it was his trophy. Then he talked about it briefly in another magazine. Why would he make that shit up? This dude is a psychopath.)

 

  • なんでこんなことがずっと知られてこなかったの? ヤツは25年前にこういうことしたのをはっきり認めているんだよ。(How did people not know about this all this time? Dude straight-up admitted to doing this stuff 25 years ago.)

   - それが理由じゃないの? 25年前に語られた内容なんて、今の40歳前の人たちはよく知らないでしょ(That's probably why. Anything that was talked about in a magazine 25 years ago isn't likely to be well known to many people under 40.)

  • 彼の音楽を何年も好きだったのに全然知らなかった・・・クレイジーだ。(I have liked his music for years yet wasn’t aware of any of this...crazy.)
  • このオリンピックにはひとつもノーマルなことはないのか。(Can't there be one normal thing with these Olympics?)
  • これがほんとなら、こういうやつらこそキャンセルされるべきだ。(If this true, then these are the kind of people who should be actually cancelled.)
  • こいつは疑いなく今もクソだぜ、永遠にキャンセルしろ。(I'm a firm believer that he still is a piece of sheit and needs to be canceled for good.)
  • いじめっていう表現は控えめ過ぎる(Bullying is a big understatement for that)

    - 文字通り、拷問だよね(Literally torture.)

  • 自分で分かってないだけでどんなガキだってバカになりうるんだから、子供の頃の行動で大人を評価すべきじゃないし、子供の頃の行動がどんな大人に育つかを示しているわけじゃない。( I believe any kid can be an a-hole without realising and therefore we shouldn't judge grown ups for their actions as kids or a kid's actions as indicative of the kind of person they'll grow up to be.)
  • 「糞便愛好で一つになろう」(‘United by coprophilia’)

   - だから東京湾はふさわしい競泳会場なのか。(That's why Tokyo Bay is the ideal swimming venue.)

  • これって日本では普通なの? それとも極端なケースなの? こういう子たちは小さい頃にお互いを尊重することを教わったと思ってた。もちろん「腐った林檎」はいるだろうけど、他の子たちは笑って見ていただけなんて。言い訳しようが無い。がっかり。(Is this normal in Japan? Was this an extreme case? I thought these kids were taught to respect one another from an early age. Yes of course you are going to have bad apples, but for others to just watch and laugh, no. Inexcusable. Very disheartening.)

*1:SNSを使った大衆によるボイコット運動、社会的抹殺キャンペーンのようなもの